去る8月26日27日、富山で開催されたワールドミュージック・フェスティバル「SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2023」へ行ってきました。
今年の出演アーティストが発表された春頃、Little Tempo の名前を見たとき、「あ、今年は行ってみたいな」と思っていたら、徳島の仲間たちも今年は行くことにしたらしく、あっという間にチケットを買い、宿をとり、一緒に行く流れに。するするする〜と物事が決まっていく時って、ある。
ということで、6年ぶり、3度目の富山来訪となりました。
徳島のスティールバンド時代に一緒にプレイしていて今は東京・国分寺に住んでいるkaoluちゃんとシマジロウさんも行くことになり、行きは2人と大宮で合流し一緒に新幹線で富山駅へ。移動するときはだいたい1人なことが多いけど、今回は友と一緒に向かう旅のはじまり。何だかそのことがじんわりと嬉しく感じられたなぁ。
1年と少しぶりの新幹線。かがやき523号に乗り込む。
街から遠ざかり、車窓には美しい青と緑、そして白。この旅で印象深かった色たち。
景色に見とれ、あっという間に富山駅到着。
駅前を歩いていると、カメラを首からぶらさげたおじさんが話しかけてきてくれた。どこから来たか?と訊かれたので神奈川の相模原からだと伝えると、このバスは相模原から来たバスだって教えてくれた。富山で働く神奈川出身のバス。
富山駅へ着いたのは12時ちょっと過ぎ。シマジロウさんはお寿司を食べることをとても楽しみしていたとのことで、近くのお寿司屋さんへ。富山と言えばホタルイカ。とても美味しかった。シマジロウさんも満足満腹。旅の目的を果たしたそうです。早っ。
最初の最初は1人で列車を乗り継いで行く予定だったけど、レンタカーする予定を立てていた2人が「マサくんも一緒に乗って行こう」って声をかけてくれてて。スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドの会場まで一緒に向かうことに。ほんとありがとう。
街なかを走る路面電車を眺めながら駅前のレンタカー屋さんへ。
富山駅から下道で南へ40〜50分くらいだったかな?いざ南砺市福野へ。
街から少し離れると、もうそこは田舎の風景で。
天気は最高。
空は広く澄み渡り、さえぎるものはない。
絵に描いたような夏の雲の群れ。
陽光に照らされ輝く深い深い緑の色。
あぁ、きれいだ…
ずーっとこの景色が続いて。もうこれだけで「来てよかった!」っていう気分になってしまうほどだった。笑
晴れ渡る美しい景色を眺めつつ、2人と喋りながら車に揺られているとあっという間に福野へ到着。会場の Helios を横目に見つつ、まずはお宿にチェックイン。この日はホテル村上さん、初めてのステイです。もうちょっとで到着する徳島のみんなを待ちつつ、ほっと一息。
ほどなくしてみんな到着。10人乗りだったかな? のデッカい車をレンタしてきた。
会場へ向かう道。サマーソニックやフジロックとまるで違うフェスティバル。この静かな町のフィーリングが好き。
スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドが初めて開催されたのは1991年だそうな。ということは今年で32年かな。この地でワールドミュージックフェスティバルを始めた人たちと、続けつづけてきた人たち。リスペクトです。
映像もちょっと撮れたらいいなと思い、メイン機の Fuji も持って来ていたけど、ヘリオスステージは撮影できないだろうし… ということでお宿に置いて来ていた。
会場の野外エリアに到着するとスティールパンがならんでいて、スキヤキスティールオーケストラ(SSO)のエイジさんと久々の再会。話を聞くと、これからパレードしてくる小学生のスティールパングループ “気分はカリビアン” と一緒に演奏するらしい。映像も撮って大丈夫とのことだったので早歩きで宿へ戻り、カメラを持って来た。
SSOのゆかりちゃんがフラッグを手渡してくれたので、カラフルなそれを振りながらポールくんとパレードを追いかける。今回の富山トリップで唯一ちょっとだけ撮った映像、最後に貼り付けておきます。
富山・福野小学校にはスティールパンがたくさん置かれた教室があり、スティールパン部がある小学校は日本でここだけだったかな。なかなか珍しく、貴重なこと。逆のことを想像してみると、カリブ海の国の小学校に “雅楽部” なんかがある感じだろうか?そんな国があったら、きっと親近感、湧くんだろうな。
小学生から大人まで、わけへだてなく、音をひとつに合わせていくところ、スティール・ミュージックの、スティールバンドの醍醐味だなぁと感じる。SSOはきちっとしたプレイに、振り付けがあったり、そのエンターテイメント性、観ていて楽しくなる瞬間がある。小学生たちがパンを弾く姿も良かったなぁ。(そういえば Yahoo! Creators program でスティールパンに関するドキュメンタリーフィルムを2本作らせてもらいましたが、その続きで “小学校のスティールパン部” のドキュメンタリーがあっても素敵かも?と帰ってから思いました。日本のローカルなスティールパン現場を追う、パン3部作。)
SSOのパンの音からはじまったスキヤキ。突然やってくる土砂降りの雨に翻弄されながらも、2日間、集った仲間たちと一緒にとてもいい時間を過ごせました。ここしばらく、ライブ現場を訪れる時には撮影していることがほとんどだったんですが、今回は撮ることをしばし忘れて(忘れきれない時がちょこちょこありましたが。笑)、ライブに、音に集中。今回の富山トリップのきっかけになり、個人的には1番楽しみにしていた Little Tempo のステージ、手ぶらで音に身をまかせ、音にゆられ、何年ぶりかに踊って、それはそれはナイスタイムでした。ほかのアーティスト、民謡クルセイダーズや FRENTE CUMBIERO、JUPITER & OKWESS も粋な音楽を聴かせてくれて、音楽だらけの時間を楽しんで過ごしました。
富山まで来たからいっぱい写真撮りたいなーと思っていたけど、場を満喫していると、思っていたより撮れていなかった。
スキヤキはメインステージも素晴らしいけど、外でゆるーく過ごしている時間もとっても好きだなぁ。芝生のエリアとか、とくに。そういえば2017年に初めて来たときは突発的に阿波おどりが生まれてめちゃ楽しかったな。あの時は徳島からミトさんが笛を持ってきてて、ブラジルの太鼓で大太鼓のビートを打って。今年はミトさんが急遽来られなくなって、富山駅から福野へ向かう車の中でそのことを聞いて、とても残念だった。だけどまぁ、仕方ないこともある。また阿波おどりしたかったな。
夜、福野駅前の呑み屋さんにて。奥には徳島チームがわいわいと盛りあがっている。ポールくんとゆっくり話すのも久々だった。ポールバンドでパーカッションしてるモチータとポールくんがめっちゃ酒呑んでる横でジンジャーエールを飲む。
気づけば閉店時間。外へ出てみると、また雨。
水を買いに福野駅の自販機へ。
深夜1時前。
そうそう、思いがけぬ出来事があって。
なんと旧友のタエコちゃん a.k.a mateco ちゃんと12,3年ぶりくらいに再会(!)まさかこんなところで。驚。
高円寺周りでバンドしていた時代に出会った友で、当時ラテン音楽雑誌 Latina で働いていたタエコちゃん。メキシコへ旅立ち、数年間のメキシコ暮らしの中で出会ったパートナー Franco と一緒に故郷の大阪へ帰ってきていた。
Franco のやっている DJユニット “SONIDERO PIRATA” の 出演でスキヤキへ来ていたのだった(!)
懐かしかったし、あの時からしたら未来すぎる今にこうしてまた会えてとても嬉しかった。グッドファイブスな Franco、そしておめめくりくりで可愛い息子のソトくんとも初めまして。出逢えてハッピーでした。
MINYO CUMBIERO のステージを一緒に観に行った。
Franco の背中にみえた “OUR LATIN WAY” の言葉。印象的で記憶に残った。
このところクンビアやテキーラやメスカル(メキシコ産蒸留酒)に熱をあげているポールくんともジョイン。案の定、大阪で共通の繋がりもあって。ポールくんのやってる徳島のイベントにも Franco & Mateco ファミリーが来てくれたら嬉しいな。
5年ぶりにゆかりちゃんとも再会。富山に来てもう8年って言ってた。スティールパンがきっかけで出逢った2014年頃、徳島と関西、行ったり来たりしながら度々遊んでいたっけ。英語を使った仕事がしたいって言ってたあの頃の夢、子どもたちの英語の先生をしてる今、叶っているね。未来を切り開いていくその力、いっつもすごいなぁって思ってる。すっかりサーフィンに夢中なようで、こんがりと健康的に焼けていた笑 少しの間だったけど話せて、元気そうな姿がみられて良かった。今度会うときは一緒にサーフィンしたいな。まだ訪れたことのない富山の海、楽しみだ。
横浜を中心に活動している Panman のユウキちゃんともこんにちは。パンバンドのライブなんかで時折会うことがあったけどほとんどお話したことがなかったユウキちゃん。今回色々と話したり、話を聞けて、同じ神奈川県民ということも相まって笑 嬉しかったな。富山でお近づきになるなんて。今度ユウキちゃんの主催する “Terapan” の練習に遊びに行ってみようと思う。
さてさて、早いもので旅も終わりに。
帰りは富山駅から新幹線。福野から富山市内へ向かうのに kaoluちゃんとシマジロウさんが車で迎えに来てくれることに。
ゆかりちゃんとユウキちゃんに別れを告げ、待ち合わせの福野駅へと歩く。
スキヤキの時の豪雨が嘘だったかのように晴れ渡った空。
すべての色が鮮やかで、歩いているだけなのにこの上なくいい気分だった。
ウキウキ気分でスナップ。
もうすぐ駅だ、というところで風情のある小径を発見。ちょいと横道へそれて歩く。
この道も素敵だった。
ルンルンで歩いているとあっという間に福野駅前に到着。
待ち合わせ時間まではあとちょっとある。
お手洗いで用を足し、ひと休み。
自販機で水を買って飲んでいると1人のおっちゃんがタバコを吸いに来た。
何の気なしにそのおっちゃんの方を見やると、後ろ被りしたキャップに何やら英語で言葉が書いてある。なになに、
「CHERISH THIS DAY」
“CHERISH” という単語、聞いたことはあるけど意味は知らなかった。
どれどれ、と iPhone で翻訳してみる。
「Cherish this day = この日を大切に」
この日を大切に、かぁ…
旅の最後にこの目に映ったメッセージ。
この日を大切にしなさいねって、そう言われた気がした。
ここに来られて良かったなぁ、この日を大切にして生きていこう。
そう心に想った。
その言葉の響きを何度も味わっていると、kaoluちゃんたちの車が到着。
スキヤキの思い出を話しながら、富山駅へ向かう。
ここへ来た時と同じように晴れ渡る空。帰りも素敵な景色に恵まれた。
2人は14時台の新幹線、自分は15時台の新幹線。
ちょっと早めに富山駅へ着いたので、行ってみたかった富山美術館や、世界一美しいと言われているらしいスターバックスコーヒーへ足を運んだ。
富山美術館の屋上から眺めた富山の街並み。
こういう時じゃないとなかなか来ないスターバックスコーヒー。ここの店舗は富山環水公園という大きな公園の中にあって、ひらけた空に緑の芝生、目の前をゆっくりと流れる川が心地よく、確かに美しいって言われるのもうなずける。こういうロケーションのコーヒー屋さん、近くにあったらいいなって思う。環水公園、近所に欲しいものです。
富山駅周辺を満喫したら、新幹線の時間はもうすぐ。
出発の前に駅中にある “越中茶屋” でお昼を食べる。
そこで見かけて知った「風の盆」っていう富山のお祭り。写真が素敵で、その名前にも魅かれて、これ行ってみたいなと思った。開催は次の週だった。さすがに1週間後には来られないか… また行く機会ができたらいいなと思った。代わりに、という訳ではないけど、”風の盆膳” という名前の、おそばとお寿司のセットを注文した。3人ともそれをいただいた。
14時が過ぎて、新幹線乗り場の改札へ。先に帰る2人を見送った。
福野駅から富山駅へ向かう車のなかで、行きも帰りも2人がいてくれて良かったな…ってそう感じた。
帰り道にはどこからともなく寂しさがついてきたりすることがあるけど、そんなこともなく、2人のおかげで楽しく過ごせたよ。kaoluちゃんシマジロウさん、ありがとう。
さて、あと1時間ほどある。富山駅へ向かう車の中から見えた森林エリアが気になったので、そこまで散歩に行った。
森林にたどりつき、散策したり、木陰で涼んだり、富山の水の音を採集したりしてたら1時間なんてあっという間。焼けつくような日差しの中、新幹線に乗り遅れないよう、駅へもどる。
あぁ、光陰矢の如し、本当にあっという間に過ぎた3日間だった。
そう感じられるのも、それだけ豊かな時間を過ごせたってことだろう。
地域ぐるみで手づくりの温度を感じるスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド。
四国のそれともまた違う、静かでしっとりと落ちついたヴァイブレーションを感じさせてくれた富山の美しい大自然。懐かしい再会、新たな出逢い、感じた瞬間を分かちあえる友たちの存在。
今年の夏はほとんど出かけずにいたから、自分にとっては夏の始まりと終わりがいっぺんにやってきたような、そんな富山の旅になりました。うん、来られて良かった。
大宮へ向かう新幹線。
ゆっくりと流れゆく街並み。
夏の雲がもくもくと浮かぶ富山の空。
“CHERISH THIS DAY”
この日を大切に
福野駅でもらったその言葉を思い出しながら
動きはじめた車窓をずっと眺めていた
この日を大切に
See you next year *