去る5月、我が家から自転車で25分くらいのところにあるリサイクルショップへ行き、カメラコーナーを覗いていると山のように陳列されている中古カメラの中にどこか魅かれるカメラを見つけた。
YASHICA ELECTRO 35CC という35mm F1.8 の単焦点レンズが付いたフィルムカメラだった。
ジャンクコーナーの中からそのカメラを手にとり、ファインダーを覗いてみたり、ヘリコイドを回してみたり裏蓋を開けて眺めてみたりした。んー、レンズやフィルム室も見た感じキレイだし、ジャンク扱いとはいえ何か普通に使えそうな雰囲気を感じた。(モルトは劣化してなくなっていたが張り替えればイケるだろう。)ただ電子的な部分の動作は電池もないし確認できない。とても気になったカメラではあるけど、その日は棚に戻して何も買わずに帰った。ジャンクにしてはそれなりのお値段もついていたので。
それから数週間が経った頃、あの日手にとった YASHICA がふと思い出されて何だか気になってしまう日があった。手元にある父親からのおさがりフィルムカメラ CANON AE-1 の電池を取り出して調べてみると、あの YASHICA に必要な電池と一緒だった。(この電池があれば動作確認できるかも…。)
さすがにもう売れてしまっているだろうと思いつつも散歩がてら電池を持って自転車に乗りリサイクルショップへ行ってみると、まだそこにいるじゃないか、YASHICA ちゃん。
電池を入れてバッテリーチェックボタンを押してみるとランプが緑色に光った。そしてファインダーに表示される露出警告のランプも絞りに連動してちゃんと動いている。モルトさえ張ればこれはちゃんと写るだろうと思いながら、でも正常に動作する確証もないので少しの気がかりは抱えつつも購入して帰った。
綺麗に拭き掃除をし、ちょっと前に AE-1 に貼ったモルトの残りがあったのでそれを自分で貼った。ただ、裏蓋のところにメモを入れておくための小さなポケットがあり、それがカビくさかったのでカッターで切り取って入念に拭いた。が、この匂いだけはなかなかとれずまだちょっと香る…。まあ仕方あるまい。
蘇った YASHICA ELECTRO 35 CC 。フィルムは友達のbluくんがくれた期限切れのFUJIFILM業務用100を入れた。
そういえば YASHICA のカメラが気になったのはいつだったかbluくんが聞かせてくれた「世界を旅しながらYASHICAで写真を撮っている女性がいて、その写真がすごくいいんだよね」って話が印象に残っていたからかもしれない。ロールプレイングゲームで村人の話を聞いて次の目的地へ進んでいくように、友達から聞いた何気ない話が物事を運んでくれることって結構ある。
フィルムを入れてから2ヶ月ほど経ち24枚を撮り終えたのでワクワクしながら現像へ出してみた。ちゃんと写っているかもわからないので今回は初めてのリーズナブルなところへお願いしてみた。
1週間ほどかかったかな?ネガとCD-Rが到着し、データを見てみると、ちゃんと写っていました(!)
それだけで嬉しかったなぁ。相模川で試写したり、スティールパンの練習の後でみんなにカメラを渡して撮り合ったり、海でフィルムおしまいのシャッターを切ったり。フィルムに刻まれた思い出が帰ってきました。
そういえば友達に写真を送ったら、ピントとか輪郭に雰囲気と奥ゆかしさがあってフィルム写真いいね〜と言っていた。輪郭、かぁ。確かに。「輪郭」という言葉を聞いて、自分がフィルム写真に魅かれる理由のひとつは間違いなくそれだなぁと感じました。輪郭。
YASHICAちゃんで撮った写真、ちょっとここに載せてみます。
そういえば友達のアッキーもあゆちゃんもこれと全く同じカメラを持っている(!)ことが最近わかって。発売当時のことは知らないけど広く普及していたカメラだったんだろうな。手軽に扱えるしね。手軽さって大切。
デザインもとても好みだし、とてもいいカメラに出会えたなと思う。
これからもこのコンパクトなYASHICAちゃんとフィルムに思い出を残していこう。